こよみと暮らす 第九回『大暑』

こよみと暮らす
こよみと暮らす 第九回 大暑
水面から浮かび上がるような、白い花。梅にも似たその姿から、梅花藻という名前を持つ植物です。ゆらゆらと水の間をたゆたう様子、想像しただけでもちょっと涼やかな気持ちになる。

水温が一定な冷たい清流でしか育たないので、温暖な地域ではなかなかお目にかかれない。滋賀県醒井の地蔵川には500mにわたって、この梅花藻が生育していて、夏場、その姿を見に訪れる人も多いそう。
こよみと暮らす 第九回 大暑
『梅花藻(バイカモ)』滋賀県米原市醒ヶ井 地蔵川Photo 井上博道
幡の創業者で写真家でもあった井上博道も、生前は夏になると朝早くから撮影に出かけていました。

少しずつ暑さも本格的になってきた今日この頃、朝早くまだ涼しい時間帯に外に出てみると、早朝の散歩を楽しむ人の姿もよく見かけます。

いつもの時間に目をさますと、もう暑いほど。昼ともなれば、つるつると冷たいお素麺がほしくなる季節ですが、夏を乗り切るためにはスタミナも大事。土用の丑の日も、まもなくです。

二十四節気では、大暑。文字を見るだけでも迫力の暑さですが、暦便覧を紐解くと、「暑気いたりつまりたる…」と、もう逃れようがないらしい。こうなったら暑さを楽しむしかない。太陽を浴びて育った夏野菜のみずみずしさを味わうのも、この時期の楽しみです。

強い日差し、空には入道雲、蝉の大合唱、地面では蟻たちも忙しそうに働いている。朝顔の鉢植えを抱えた小学生とすれ違うと、思わず「夏休み、いいなあ」と本音が漏れる。

ここから本格的な夏がはじまるような気持ちですが、実は暦の上ではこの「大暑」が夏の締めくくり。夏は意外と短いのかもしれません。
夏の暑さを快適に過ごすために、今回は蚊帳の服のなかでも一番ベーシックな「かやフレンチスリーブ」を紹介します。

はじめての方は特に、蚊帳の服ってどんなふうに着ればいいの?と思われるかもしれませんが、幡ではこのかやフレンチスリーブを、「Tシャツのような感覚で使ってください」とおすすめしています。

形は、ほぼ正方形にも見えますが、身につけると自然に生地が肩に添い、ドレープのゆるやかなシルエットがあらわれます。外からはわかりませんが、胸の部分だけ生地を一枚多く重ねて縫製しているので透けにくくなっています。
汗をよく吸い、乾きやすい。軽やかで、風をよく通し、涼しい。夏こそ、この素材の良さを感じていただけるはず。はじめての方はぜひここから試してみてください。

もともとは服地ではなく、資材などに使われていた蚊帳の生地。気持ちいい肌触りや機能性をもっと身近なところで活かせないかと、幡が服づくりをはじめたのが10年前のこと。柔らかく細い糸を使って織り上げる生地なので、通常の生地と同じように縫製することが難しく、いろいろ工夫がいりました。

フレンチスリーブはそのころから10年来、試行錯誤を重ねてきたアイテム。洗い替えや色違いで楽しんでくださるファンの方も多い定番商品です。フリーサイズで、どなたにも使いやすいので初めての方や、ギフトにも安心。
ギラギラと暑い日差しの下を歩くこともあれば、ひんやりとしたエアコンの部屋で仕事をすることもある。急に室内で肌寒さを感じたときも、蚊帳の柔らかい手触りを優しく感じていただけると思います。秋口には上に羽織りものを合わせて楽しむこともできます。


今回ご紹介した商品はこちら…
タイトルとURLをコピーしました