こよみと暮らす 第十六回『立冬』

こよみと暮らす
こよみと暮らす 第十六回 立冬
気温がグッと冷え込んで、秋が深まってきました。もう少し厚手の上着を選べばよかった、と思う日もありますが、晴れた空はどこまでも高く秋らしい陽気です。

桜並木はすっかり葉が落ち、いち早く冬支度。一方、イチョウの葉はしっかり育って、これから迎える紅葉の季節を待っている。足元の銀杏を踏みつけないように気をつけながら、散歩を楽しみます。

最近は、都市部のスーパーなどでも新米入荷の幟を目にするようになりました。9月から10月ごろに稲刈りが行われたあと、実際に出荷するまでには農家の方の手間暇がかかっています。

そのひとつが稲架掛けといって、刈った稲を束にして天日に干す作業。よく乾燥させることで、お米が長持ちするのだそう。
こよみと暮らす 第十六回 立冬
『葛城の道』奈良県御所市森脇 一言主神社付近Photo 井上博道
写真は奈良県中部、奈良から大阪に抜ける古道「葛城の道」の途中の風景。ずらりと並ぶ稲穂の束が美しい毛並みのようにも見えます。遠く霞みがかって見える民家も、昔ながらの日本家屋で趣がある。

里で育った経験はなくても、こういう風景を見ると「ふるさと」という感じがするのは、自分が生まれる前から脈々と繋がってきた人の営みを感じるからでしょうか。

通り抜ける風にも少しずつ冷たさが増していくこのごろ、季節はいよいよ冬。二十四節気では、立冬です。もう冬なんて、実感とは少し遠いような気もしますが、日暮れはまた少し早くなってきた気がします。

夜が長い季節だからこそ、家で温かく過ごす時間も慈しみたいもの。

幡ではこの秋、そんな秋冬のおうち時間を楽しくする新しいアイテムをお届けすることになりました。蚊帳生地の新しいシリーズ「かやスラブ」の洋服です。
蚊帳といえば、その通気性の良さから、春夏のアイテムというイメージが強いかもしれません。一方で、蚊帳はふっくらと糸が膨らむことで、その内側に空気を含んで温めてくれる特性があります。

これまで肌で感じてきたその魅力を、今回あらためて神戸大学さんとの共同研究で科学的に検証。蚊帳は保温性の面で、寒い季節の衣服としても優れた素材だということがわかりました。
その特性を活かして開発したのが、「かやスラブ」です。従来の蚊帳とは、糸が少し違います。スラブ糸というのは、糸を撚るときの力を弱めに調整しているもので、ところどころに節のようなふくらみがあります。

この節があることで糸の中に空気が保たれ、ふんわりと温かい着心地になります。また、繰り返し洗っていくことで、この節の部分が毛羽立ち、さらに手触りが柔らかく変化します。感触としては、綿の起毛生地・フランネルに近いものがあると思います。
カラーは全部で4色。冬の深い森を連想させるような、穏やかな色あいです。この生地を使って、4つのラウンジウェアをつくりました。

新しい試みだったこともあり、実際に商品を仕上げるまでには、スタッフが手作業で洗いをかけたり、意見を出し合ったりしながら、改良を重ねてきました。冬に向けて、少しずつお届けしていきますので、楽しみにしていてください。

次回は、そのラウンジウェアのアイテムを紹介していきます。

今回ご紹介した商品はこちら…

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