「ひとすじの道」出版のお知らせ

井上企画・幡の仕事
 

令和六年(二〇二四)は、井上博道の十三回忌にあたります。この機に、博道の八十一年間の生涯を振り返った伝記本を出版いたしました。

第一冊の本文編では、幼少期から最晩 年に至るまでの博道の軌跡を、博道をよ く知る十一名の方々にインタビューした内容をもとにまとめています。また、生前、 博道と縁のあった方々から寄せていただいた寄稿文を掲載。加えて妻千鶴、 長女千華の二人が、家族から見た博道像を語ります。
第二冊の写真編では、博道が遺した作品を出版の履歴を振り返る形で約一四〇点掲載しています。

販売価格 ¥6,050(税込)

発行元 井上博道記念館

装丁 B5版変型、二冊本、並製本、ケース入り
頁数 第一冊 本文編 112頁
   第二冊 写真編 146頁

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井上千鶴よりご挨拶

井上企画・幡の商品をいつもご愛顧いただき有難うございます。
私、井上千鶴と夫・博道が井上企画・幡を起業したのは昭和62年(1987)でした。その頃の奈良の有名なお土産といえば「奈良漬け」しかない時代でした。創業当時、博道の写真の仕事の関係で、東京から出版社の方々がよく奈良に来られましたが、「奈良漬け」以外に気の利いたお土産物がなく、毎々もどかしい思いをしていました。

私は、江戸時代から続く麻織物「奈良晒」を生業とする家に生まれました。「奈良晒」は武士が着用する裃や帷子、富裕な町人の奢侈品として大いに栄えました。幼い頃より麻織物に慣れ親しんだ私は、新たな奈良のお土産を作りたいという一心から、夫・博道とともに井上企画・幡を創業しました。そして、手織りの麻を使った巾着やバック、テーブルウェアなどの身近な商品を企画製造しました。現在は麻製品に加えて、奈良の伝統産業である「蚊帳」生地の製品も数多く製造しています。

夫・博道は写真の仕事に専念していました。撮影に没頭していたといっても過言ではないでしょう。博道が井上企画・幡の製品づくりに直接かかわることはありませんでしたが、時折、幡が作り出した商品を見ると「にっこり」。そして友人へのプレゼントはいつも幡の商品でした。

井上博道記念館(奈良市)

今年は博道の十三回忌にあたります。これを機に博道の半生を振り返る記念誌を出版しました。版元は一昨年、奈良市中登美ヶ丘に開館した井上博道記念館です。本誌に収録された博道の伝記と写真の数々は、博道が日本の自然と伝統美を如何に大切に思っていたかを語るものになっています。そして、その思いは私だけに限らず、今の井上企画・幡の社員ひとり一人の心に中に受け継がれています。

令和6年9月

井上 千鶴

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